第十二回:「背割れ堤(八幡)」

登場人物
ゆう
蛍子

ト、白いかわらにたたずむゆう、しゃがんでいる蛍子。石を拾っている?

蛍子:最後って、

ゆう:ん?

蛍子:いつのことだか、どれのことだかわからなかった。

ゆう:where, and which ・・・will be

蛍子:ん?

ゆう:where, and which ・・・will

蛍子:英語、わかんない

ゆう:はは。which, and where ・・・

蛍子:もう。

ト、蛍子は平たい石をゆうに渡す。

蛍子:あれもデートだったのね、一応。

ゆう:?・・・・取材?

蛍子:そう。

ゆう:蛍子が猫と戯れてた?

蛍子:そう、あなたが私をほったらかしてた。

ゆう:いや、戯曲の構想を練ってたんだよ。

蛍子:はいはい。ほったらかしてた事実は

ト、小声で

蛍子:変わんないんだけど

ゆう:The Heart ・・・be here.

蛍子:ゆ、う。

ゆう:Will

ト、こぶしをぐっと握るゆう。

ゆう:あのおっちゃん俺に勝ったって?大橋の。

蛍子:うーん、どうだったかなあ、でも良く覚えてた、あなたのこと。

ゆう:負けられんなあ。

ト、ゆうは石を投げる。

蛍子:そんな、負けず嫌いだったっけ?

ゆう:人は変わるのさ。

蛍子:?

ゆう:毎日ね。

蛍子:うん。

ト、電車が通る音がかすかに聞こえる。水面を電車が走る。

ゆう:IをWeに変えなきゃな。

蛍子:え

ゆう:IをWeに。

蛍子:愛をウイーて?

ゆう:私を私たちに・・・

蛍子:・・・・・

ゆう:・・・・・・。

蛍子:旅は終わりですか?

ゆう:・・・・・・うん。

蛍子:・・・・・・。

ゆう:・・・・・・。

蛍子:ゆう。

ゆう:・・・・・・。

蛍子:・・・・・・。

ゆう:はじめるか・・・・・・。

蛍子:・・・・・・うん。

ト、溶暗、驟雨。終